ヘラクレス製作日誌 :第3回 船体の整形
こんにちは、斉藤製作所の角田です。
前回までは弊社で扱う船体キット等、全般的な内容をお伝えしました。
今回からは船体の製作風景について紹介してきます。
こういう流れで模型船ができていくんだ、ということが伝わるように紹介していきます。
知っている方にとっては当たり前の内容かもしれませんが、
模型船製作において気を遣うところやこういう風にすれば、見栄えがよくなるテクニック等も交えていきたいと思います。
ではさっそく製作に入ります。
製作の序盤のハイライトは、プロペラシャフトのセンター出しになります。
出来上がった後に「プロペラを回そうとしても回らない!」事態になると修正ができませんので
慎重に作業する必要があります。
センター出しを行うまでの工程は三つからなります。
- 船体の整形
- ダイカットの整形
- 舵、その他部品の製作
今回紹介していくのは1.船体の整形になります。
大きく分けると5工程です。
作業に入る前に船体のカットラインを修正します。
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上の写真のように船首と船尾に角棒など基準になるものを置きます。
そして船首側に置いた角棒を100mm間隔で船尾側に移動させながら、
船尾側の角棒と見比べて右舷と左舷の高さを確認します。
こうして左右どちらが高いか、そして高い方はどこからどこまでが高いかを確認します。
確認できたら高い方を少しずつ削りながら、左右同じ高さになるように調整を行います。
甲板等の寸法の基準となるラインの為、重要な作業です。
船体の準備ができたら、作業に入ります。
1.船体内側をヤスリがけ
粗目のサンドペーパーでやすりがけを行います。
*接着剤の食いつきをよくする目的で行います。
よってエンジンベッドや隔壁板、甲板等接着する部分をやすりがけします。
2.船体上部から約3cmの範囲をヤスリがけ
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青枠の範囲には、後でABS板やヒノキ棒、甲板を接着していきます。
整形していない状態では凹凸があるため、サンドペーパーで滑らかにしておきます。
*凹凸がある状態だと完全に接着せず、また板を接着したあと凹凸が外側に浮き出てくる恐れもあります。
3.舵ブラケットの取り付く部分の整形
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舵ブラケットの取りつく部分の船体を削り落とします。
*削る長さは図面を参照し予め船体側にマーキングしておくと削りすぎ防止になります
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同時に舵ブラケット自体も整形しておきます。
4.後部軸受の穴あけ
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図面より後部軸受の位置を拾い、穴あけしていきます。
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この時、図面の寸法は参考程度にして、現物優先で合わせていきます。
位置を決めたら、プロペラを当ててみて船体に当たらない事を確認します。
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穴あけは、いきなり径の大きいドリルで開けるとヒビが入る恐れがあるため、
最初は3mm等小さく穴あけして徐々に大きくしていきます。
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穴を開けたら丸ヤスリで少し広げます。
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次に先ほどより大きいサイズのドリルで、穴を広げます。その後再び丸ヤスリで大きくします。
このようにして、目的の孔径まで大きくしていきます。
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穴開け後の状態です。
後部軸受にプロペラシャフトとプロペラを仮付けした状態で回転させ、
船体や舵軸に当たらないように、軸受穴を削って微調整して完成させます。
5.舵軸受の穴開け
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舵ブラケットを仮付けした状態で、船体に開ける穴の位置を決め穴を開けます。
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以上が大まかな流れです。
次回はダイカットの整形からご紹介します。